映画『時をかける少女』(ネタバレあり)

9日と15日の二度見た。期待した以上に面白かった。すごくうまい。
見終えて、二度とも幸福な気分になれた。もう一回劇場で見たいなあ(上映終了しちゃったけど)。


タイムリープによって、イベントがキャンセルされてしまうあたり、イーガンの『宇宙消失』を連想した。


二度見てもひとつだけ疑問が残ったが、この一週間ネット上の感想読んだり考えたりして、(自分としては)一応つじつまは合ってると思うことにした。
(以下ネタバレ)


2ちゃんねる映画作品・映画人板の『時をかける少女』スレッドのFAQより

Q:千昭が時間を戻したあと、真琴が残り1回を使えることを忘れているのはなぜ?
A:いくつか説があります。1.千昭が消した記憶は功介の事故の記憶だけだった。2.真琴はタイムリープができなくなったと思い込んでいただけ。3.まあ、そこは目をつぶってください。

みんな同じところで引っかかっているようで。
上の1は、千昭が真琴を伴ってタイムリープして、一部の記憶だけ消した(数字が0になった記憶は残った)という説。
2は、そそっかっしい真琴が千昭との会話から少し未来の自分の状態を察して、それを今の自分に当てはめたという説。


1の説では、なぜ千昭がそんなややこしいことをしたのかが不明。
その時点までに映画上に描かれたタイムリープのルールに従うなら、2の方が整合性がとれていることになる。
ただそれだと残り0の記憶だけでなく事故の記憶まで無いことになって、「主人公の挫折→復活」というエンターテインメントの王道パターンが崩れてしまうので、私としてはこの説は受け入れられない。実際、二度見たときの印象では、事故前後の真琴の様子に意識が断絶してるようには見えなかったし。


絵コンテ集で確認すると、時間停止状態の踏み切り前で

「千昭…どうしてここに…功介は…?」
「まだウチだろ」
「え…?だって今、そこに…」
(341P.)

この「今、そこに…」というセリフは、素直に読めば、真琴が事故を記憶してることを示している。
まあ、こじつけようと思えば、いくらでも別の解釈ができるけど。


では、あのタイムリープと他のタイムリープとでは何が違っていたのか?


以下は私の想像(とっくにどこかで否定されてるかもしれないが)
千昭は数字が0になっても時間を止めることができた(ように見える)。
ならば、真琴も時間を止めることができても不思議でない。
「止まれー!」と叫んだ時、時間が止まったのは偶然ではなく、真琴が止めた。
その時間線上のちょっと未来から千昭がタイムリープしてきたとき、そこの時点で干渉して真琴の意識が巻き込まれた。
だから、真琴には「止まれー!」までの記憶がある。
タイムリープの先で時間が止まったのは、到着した時真琴はまだ「止まれー!」と念じていて、あらためて時間停止のスイッチが入ったからで、千昭が止めたのではない。


うーむ、我ながら苦しい気がするが、説明しようと思えば出来ないこともないということ。
真相は、DVDが出たら監督がコメンタリーで説明してくれるんじゃないかな。