2005-01-01から1年間の記事一覧

『どんがらがん』アヴラム・デイヴィッドスン、殊能将之・編(河出書房新社)

デイヴィッドスンは、昔ソノラマ文庫で出てた『10月3日の目撃者』があんまり面白くなかった記憶があるが、これは読んでて愉しい粒ぞろいの傑作集。奇想コレクションの中で一番気に入った。 数年前SFマガジンで読んでデイヴィッドスンに対する認識を改めさ…

伊藤重夫の単行本未収録作品

復刊ドットコムに「伊藤重夫の単行本未収録作品」のリクエストが出ている。需要あるのかなあ。 それよりも名作『踊るミシン』のほうが先だと思うが、こちらですら現在13票。うーむ。これは奇跡的な傑作で、読めない人が気の毒に思えるほどだ。特にポニーテ…

横山光輝『狼の星座・2巻』

3月に回収された『狼の星座』の2巻が修正されて発売された。 修正箇所は215p.の 「まるで屠殺場にひかれるヒツジのようだな」→「すっかりうちひしがれているようだな」 「こじきどうぜん…」は変更なし。 奥付の表記は「2005年3月11日 第1刷発行」…

「ダヤン」ミルチャ・エリアーデ、住谷春也・訳(『エリアーデ幻想小説全集・第3巻』作品社)

数学の天才にして、黒い眼帯をしているせいで“ダヤン”と呼ばれる大学生オロベテは、ある日“さまよえるユダヤ人”を名乗る老人に出会う。その老人は、不思議な力を使ってダヤンの左右の目を取り換えてしまうが、そのためにダヤンは秘密警察から目を付けられて…

最近買った本

『読むのが怖い!』北上次郎、大森望(ロッキング・オン) 『読むのが怖い!』で北上次郎と大森望の間で評価が極端に違う(北上が低評価で大森が高評価)のは、『黒い仏』『ハリガネムシ』『空の境界』『クリプトノミコン』『しあわせの理由』(『グラン・ヴ…

横山光輝『狼の星座』

狼の星座(1) (講談社漫画文庫)作者: 横山光輝出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/03/11メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (8件) を見る今月はじめに、日本人馬賊を描いた横山光輝のマンガ『狼の星座』1・2巻が文庫化されたが、…

『シャグパットの毛剃』ジョージ・メレディス、皆川正禧・訳(学研M文庫『ゴシック名訳集成 暴夜幻想譚』)

大志を抱く床屋の青年シブライは、謎の老女からシャグパットという男の髪を剃ることができれば栄達まちがいなしと予言されてその気になるが、それが天地を揺るがす大闘争を意味するとは思いもしなかった……という、英国製アラビアン・ファンタジー。 この本の…

メタ架空国テーマ作品

メタ架空国テーマ作品というのは、作中で舞台が架空の国であることが明示されているものや、虚構なのか現実なのかはっきりしないもの、夢オチ、作中作の出てくるものなどを指す。 『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』ルイス・キャロル 「トーマス・シ…

『白髪小僧』夢野久作(ちくま文庫『夢野久作全集1』)

昔あるところに、白髪小僧と呼ばれる白痴の浮浪者がいた。ある日、白髪小僧が銀杏の樹の下で昼寝をしていると、溺れかけている少女の悲鳴に起こされた。白髪小僧に助けられた少女・美留女は手に『白髪小僧』という本を持っていて、小僧のことは全てこの本に…

『リピート』乾くるみ(文芸春秋)

『SFが読みたい!』の作品紹介で、『マイナス・ゼロ』や『タイム・リープ』に連なる傑作というふうに誉められてたので買った。それらのように、時間旅行で生じた矛盾のつじつまを合わせるパズルのような話かと思ったら違ったが、意外な展開で、これはこれで…

購入

『リピート』乾くるみ(文芸春秋) 『ゴシック名訳集成 暴夜幻想譚』東雅夫編(学研M文庫) 『SFが読みたい!2005年版』(早川書房) 「本の雑誌 3月号」 『続リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』アラン・ムーア&ケビン・オニール(…

DVD『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 スペシャル・エクステンデッド・エディション』

ついに完結。 劇場で4回見た(おかげで腰を痛めた)が、やっぱり面白い。ペレンノール野での戦いの決着あたりまでが素晴らしい。その後はまあまあ。 追加シーンの目玉は、サルマンの最期と、ガンダルフvsアングマールの魔王だが、コミカルなシーンが増えて…

長門有希の100冊

長門有希に挑戦!をやってみた。結果は34冊。 ダン・シモンズ『エンディミオン』 有栖川有栖『双頭の悪魔』 京極夏彦『魍魎の匣』 とり・みき『クレープを二度食えば。』 筒井康隆『バブリング創世記』 バリントン・J・ベイリー『時間衝突』 グレッグ・イー…

『メグレの回想録』ジョルジュ・シムノン、北村良三・訳(早川書房『世界ミステリ全集9』)

メグレのモデルになった(という設定の)“本物のメグレ”による回想録。シムノンの描写や、映画の配役に対して文句をつけてるのが笑える。 ほとんど小説内のメグレと同一人物と見なして差し支えなさそうだが、わざわざメタな手法を使ったのは、小説に描かれる…

メモ

1月8日から新潟日報で毎週土曜に、池上永一のエッセイ「月動説」が始まっていた。昨日が3回目で、子どもの頃お婆さんがスキヤキを作ってくれたが、ヤギの肉を使っていたせいで異様な臭いがしたという話。

映画『カンフーハッスル』

評判どおり面白かった。最近疲れ気味だけど、少し元気を分けてもらった感じ。後味もさわやか。 香港映画というと、つまらないギャグやどこが面白いのかよくわからないギャグが多くて、『少林サッカー』でもそういうところが気になったけど、これは笑えた。マ…

メモ

昨日から新潟日報で佐藤亜紀のエッセイ「オオアリクイ通信」が始まった(月イチ掲載)。これは佐藤亜紀が新潟県(栃尾市)出身だからで、他紙には載ってないのかな。一回目はマンションのベランダのレモンの木が枯れたといった、毒にも薬にもならない話。時…

架空国テーマ作品リスト・19〜20世紀ヨーロッパ編

調べたら他にも出てきたけど、適当に選びました。 小説 『ゼンダ城の虜』アンソニー・ホープ(ルリタニア王国) 『ルータ王国の危機』E・R・バローズ(ルータ王国) 『暗い国境』エリック・アンブラー(イクサニア) 『小鼠ニューヨークを侵略』レナード・ウ…

『暗い国境』エリック・アンブラー、菊池光・訳(創元推理文庫)

スパイ小説の大家エリック・アンブラーのデビュー作(1936年)。 イギリス人物理学者ヘンリイ・バーストウ教授(40歳)は仕事のし過ぎで医者から、神経衰弱になりたくなければ休養しろと命じられる。旅行先のホテルで、居合わせた兵器会社の社員からイクサニ…